MY YARN #07
YARN HOME
デザイナー
荒川祐美
17.Feb.2022
2021年の年末に、ウェブサイト内にGIFTのページを増設しました。今まで通りではない日常で、“贈りもの” への価値観が変わるなか、想いを一緒に包む責任感を、さらに感じるようになりました。結婚祝い、出産祝いに内祝い・・・熨斗をご依頼いただくことが増えて、華美にしたいわけではないけれど、少しだけ特別感を出したいと、オリジナルの熨斗を作ることにしました。
ギフトボックス(S.Mサイズ)の熨斗がけ
オリジナルの熨斗の種類はこちらです。
■ 一度きりのお祝いごとや二度と繰り返さない方が良いことに使う、結び切りの「あわじ結び」。
■ 華を贈るという言い伝えがあり、何度あってもうれしい喜びごとに使う、花結びの「蝶結び」。
熨斗は、ギフトボックス、ふきんMサイズ、ハンカチが対象になります。ギフトボックスにはYARN HOMEのオリジナルペーパーを箱に巻き、右上に短冊の熨斗を。お祝いごとには、赤と白の和紙を添えさせていただきます。ふきんMサイズとハンカチは、熨斗の入った巻紙で包みます。御年賀、慶事、仏事などでのちょっとした引き出物にもご要望くださいませ。
ギフトボックスの熨斗掛け。お祝いごとの熨斗の横には、赤と白の和紙の飾りがつきます。
ふきんMサイズ、ハンカチの熨斗がけ
お祝いごとの熨斗の贈りものに添える紅白の小さな和紙。いろんなところのものを見て回っていたのですが、もう少し手仕事を感じるものがいいなと思っていたところ、ふと小学生のときに習った、牛乳パックから作る「手漉き和紙」が浮かびました。さっそく調べていると、広島県大竹市にある工房「大竹手すき和紙の里」に辿り着き、すぐさま連絡を取りサンプルを取り寄せました。
数日後、手作りのサンプル帳が届きました。こんなに愛情たっぷりのサンプル帳は見たことなかったので、感動しました。
どんなふうに作られているのかを知りたくなり、工房に足を運び見学させてもらうことに。こちらで作られている和紙は、「コウゾ」という植物の樹皮の繊維を紙の原料としています。コウゾという名前の由来は、神に献じる布(紙衣あるいは神麻=かみそ)の材料にしたことにちなむとする説もあるそうです。
コウゾの植物たち
コウゾの樹皮
「大竹手すき和紙の里」では、コウゾの自家栽培から紙漉きまで一貫して行われています。ご好意で工房を見学させてもらったので、手漉き和紙ができるまでを紹介させてください。
まずは大きな釜でコウゾを蒸して皮をはがしやすくし、温かいうちに茶色い部分を白皮になるまで一本一本はいでいきます。純度の高い繊維にするために白皮を熱湯で煮て、アク抜き・漂白をし、細かいゴミやキズを手で丹念に取り除きます。
細かい繊維にするため、機械で叩き砕き、ふわふわの綿のような状態の紙料にし、脱水していきます。
木枠とすだれからできてた「すき舟」に、コウゾ、ネリ(トロロアオイの根などから採取する粘液)、水を入れて前後に揺らし、よくかき混ぜながら漉いていきます。紙を均等な厚さにするには熟練の技を要します。
重ねた和紙を機械でプレスし水分をしぼります。水を絞った和紙を刷毛で板に貼り付けて、自然乾燥させてできあがりです。
古くから使われている機械や道具を見ていると、経年変化していったその歴史に感動します。和紙ができる工程を見せてもらって感じたのは、綿花から糸、糸から生地が織られるように、何気なく手にしているものの成り立ちを知ることは、ものの命をより深く感じられる気がします。
「おおたけ手すき和紙の里」では、四百年以上続く、大竹の和紙技術の保存と継承に努めるとともに、管理・運営を行われています。こちらの和紙は神楽の面や鯉のぼりにも使用されています。
この度は見学させていただき、貴重な経験をありがとうございました。
小さな表現になるかもしれませんが、手にとっていただくものにどんな彩りを添えたいかを試行錯誤しながら、YARN HOMEらしさを探しています。長くなってしまいましたが、贈りものをお選びの際に思い出していただけたら嬉しく思います。今回はコウゾの繊維が少し残っている薄い提灯紙をいただいて帰りました。一枚一枚手作業で作られているのでそれぞれに表情が違い、選ぶのに迷う時間も楽しかったです。全部同じで整っていること、ひとつひとつに個性があること、どちらも違った美学があることにも触れました。
こちらの手すき和紙は、熨斗の横に添える紅白の飾りの白い方に使用させていただきます。表書きを載せる熨斗はインクジェット印刷対応の熨斗を使用し印字いたします。
熨斗の種類は下記、ご参考くださいませ。
下記の熨斗をご用意しております。
御祝・・・慶事のお祝いごとに。
内祝・・・おめでたいことのおすそ分けやお祝い返しに。
寿・・・長寿祝いに。
御出産祝・・・出産のお祝いの贈り物に。
御引越祝・・・お引っ越しの贈り物に。
御中元・・・一般的に、夏のご挨拶に。
関東:6月中旬〜7月中旬 関西:7月1日〜8月中旬
御歳暮・・・一般的に、冬のご挨拶に。
関東:11月下旬〜12月中旬 関西:12月上旬〜12月下旬
御年賀・・・昨年中お世話になったお礼と、今年度のお付き合いをお願いするしきたりとして使います。
志・・・仏事で喪主から参列者へ引き物に。
ギフトのお求めに関する詳細は、こちらをご参考くださいませ。